「特別の利益供与の禁止」の考え方と留意点(前編)
―公益認定取消事例と国税不服審判所裁決―
2023年04月14日

大野憲太郎
(おおの・けんたろう 弁護士)
(おおの・けんたろう 弁護士)
Ⅰ はじめに
日本の非営利法人法制においては、非営利性を補完するルールとして、「特別の利益供与の禁止」が広く採用されている。以下、非営利法人法制における「特別の利益供与の禁止」についての考え方を整理した上でII、公益法人・移行法人における「特別の利益供与の禁止」Ⅲ、非営利型法人における「特別の利益供与の禁止」Ⅳについて検討し、最後に、法人運営上の留意点について解説する(V)。Ⅲにおいては、特別の利益供与の禁止への抵触を理由の一つとして公益財団法人の公益認定が取り消された事例を検討し、Ⅳにおいては、特別の利益供与に該当することを理由に非営利型法人ではなく普通法人であると判断された国税不服審判所裁決を検討する。
本号では、Ⅲまで掲載し、Ⅳ以下は次号に掲載する予定である。
Ⅱ 非営利法人法制における「特別の利益供与の禁止」
1 特別の利益供与の禁止法令
特別の利益供与の禁止とは、非営利法人が、一定範囲の者に対して「特別の利益」を供与することを禁止するルールである。【図表 1 】及び【図表 2 】で例示するとおり、日本の非営利法人法制では、広く採用されている。構成員の存在する社団法人型の非営利法人では、一般社団法人のうち非営利型法人(法人税法 2 条 9 号の 2 )、公益社団法人(認定法 2 条 1 号)等【図表 1 】において、特別の利益供与を禁止する旨、明記された法令が存在する。また、構成員の存在しない財団法人型の非営利法人では、一般財団法人のうち非営利型法人、公益財団法人(公益認定法 2 条 2号)等【図表 2 】において、特別の利益供与を禁止する旨明記された法令が存在する。
なお、移行法人(注 1 )に
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