改選期における役員等の 変更登記に必要な手続きと留意点(下)
~印鑑の押し方から申請書の綴じ方まで~

伊藤文秀
(いとう・ふみひで 司法書士)
  • CATEGORY
    • 法人運営、変更登記
  • 対象法人格
    • 公益法人・一般法人
  • 対象職位
    • 管理職・職員
目  次
 
役員等の改選などに伴う変更登記手続の書式について、今号では代表理事を選定する理事会の議事録や理事会非設置型法人における相違点を解説する。

はじめに

 前号に引き続き、改選期における定時社員総会又は定時評議員会の終結後に行う理事、監事、会計監査人及び評議員(以下、「役員等」という。)の変更登記の手続きについて解説を行う。
 本稿では、理事会設置一般社団法人及び一般財団法人における代表理事選定に係る理事会の議事録の作成方法、外部理事及び監事である旨の登記の抹消、理事会非設置一般社団法人における代表理事の選定方法と添付書面の相違点、その他の添付書面について解説した上、最後に登記申請書の作成方法と申請の仕方について説明する。

理事会の議事録

理事改選後の代表理事の選定

 定時社員総会又は定時評議員会の終結時に理事全員が任期満了となり、理事の改選が行われた場合、その後最初に開かれる理事会において代表理事の選定を行う必要がある。前任の代表理事が再任する場合であっても、前任の代表理事としての地位は理事の任期が満了した時点で喪失しているため、あらためて選定の決議を行わなければならない。また、この代表理事の選定は、その選定の際に理事としての地位を有する者によって、その理事の中から選定しなければならない。したがって、改選後の代表理事は、改選された理事の就任の効力が生じた後、その理事を構成員とする理事会において選定することとなる。

代表理事の予選の可否について

 定時社員総会又は定時評議員会の後すぐに理事会を開催できないことがある。そのような場合、代表理事の空白期間を生じさせないために代表理事を予選することは認められるであろうか。
 一般的に、理事会の決議の効力の発生を条件又は期限にかからしめることは、法律の規定、趣旨又は条理に反しない限り許されると解されている(最判昭和37.3.8民集16巻3号473頁)。しかし、前述のとおり、代表理事の選定はその選定の際の理事会の構成員がその構成員である理事の中から選定するというのが法の趣旨である。そのため、登記実務においては、社員総会又は評議員会で理事を予選した上、改選前の理事会において新代表理事を予選することについては、社員総会又は評議員会において理事が全員再選されて理事に変動を生じない場合に限り、合理的な範囲(例えば1か月程度前)であれば、許容されると解されている(昭和41.1.20民事甲第271号民事局長回答)。
 したがって、理事のうち1名でも変動が生じる場合には、代表理事の予選はできないこととなる。

登記申請書の添付書面としての性格

 理事会設置一般社団法人及び一般財団法人においては、理事会の議事録が代表理事の選定を証する書面となる。また、選定された代表理事が当該理事会に出席しており、席上就任を承諾した旨の記載があれば、この記載を援用して代表理事の就任の承諾をしたことを証する書面とすることができる。
●理事会の議事録に記載すべき事項 登記申請書(31、33~34頁参照)の添付書面としての理事会の議事録は、法定の必要事項を記載した上、一般法人法、定款で定められた者が署名又は記名押印しなければならない。また、代表理事の選定を証する書面、就任の承諾を証する書面として登記申請書の添付書面とする場合には、それぞれの書面としての必要な事項を記載しなければならない。
法定の記載事項 理事会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成し、次の事項を内容とするものでなければならない(法95条3項、197条、施行規則15条2項・3項、62条)。
① 理事会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事、会計監査人が理事会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)
【補足】テレビ会議・電話会議で出席した場合
 理事会にはテレビ会議や電話会議による出席も認められており、その場合には、当該場所に存しない理事等が出席した方法を記載しなければならない。
② 法の特別の規定により招集された場合には、その旨
③ 議事の経過の要領及びその結果
④ 決議を要する事項について特別の利害関係を有する理事があるときは、当該理事の氏名
【補足】代表理事の候補者と特別利害関係
 代表理事の選定につき候補者自身が議決権を行使することは業務執行の決定への参加に他ならず、特別利害関係には当たらないと解され

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