「公益法人特別限度額」が大幅に縮小!増税される公益法人が続出か?
(なかむら・まさひろ 税理士)
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令和7年4月1日以後に開始する事業年度から、公益社団法人・公益財団法人のみなし寄附金に係る公益法人特別限度額の計算方法が見直された。収益事業等から生じた収益の50%を超えて公益目的事業へ繰り入れる法人では、損金算入額が従前の想定より減り、法人税等の負担が増える可能性がある。本稿では、ある法人を例に、改正による影響と対象となり得る法人、当面の対応について解説する。
Ⅰ 「不可解な増税」の実態と法令改正の概要
令和7年度(令和8年3月期)の公益法人の法人税申告書を作成したところ、どう考えてもおかしいと思われる様式変更が現れている。『月刊公益』の編集部にも、複数の公益法人から問い合わせがあった。
筆者も、ある法人(A法人という。)の法人税等を算定したところ、前年度までの計算方式に比べて約3千万円もの不可解な増税が生じた。このA法人の「不可解な増税」が生じる計算の流れは次のとおりである。
1 設例:収益事業等から生じた収益が2億円、公益目的事業の資金不足額が2億円の場合
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2 公益法人特別限度額の計算方法はどう変わったか
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通常限度額=寄付金支出前の収益事業の利益×50%
特別限度額=公益目的事業の資金不足額
通常限度額=寄付金支出前の収益事業の利益×50%
特別限度額=公益目的事業の資金不足額(特例残存欠損額含)-収益事業の利益の50%
Ⅱ どのような法人が、公益法人特別限度額の縮小による増税の影響があるのか?
上記から分かる通り、収益事業の利益と公益目的事業の資金不足額とが、ほとんど同額である法人が影響を最も受けることになる。
もし仮に収益事業の利益が2億円であっても、公益目的事業の資金不足額がこれを上回って3億円である場合は、次の算式のとおりみなし寄付金の限度額は2億円になる。
したがって、今回の制度改正で損失を負う法人は、公益目的事業の資金不足額が収益事業の利益の1.5倍までの法人である。
Ⅲ 公益法人特別限度額の縮小による増税を、当面回避する方策はあるのか?
それでは、法改正を待たず、当面現在の制度のままで上記A法人の「不可解な増税」を回避する手段は存在するのであろうか?
まずは令和8年3月期の決算申告においては、A法人はみなし寄付金として公益目的事業に2億円繰り入れたところで1億円しか損金算入されない。したがって繰入額は1億円にとどめる以外に選択できないが、「50%ジャスト繰入」ではなく、数円だけ多く繰り入れて「50%超繰入」の状態にしておくことが可能だと思われる。
例えば、1億1万円を繰り入れておくと、当該事業年度において次のとおり特例残存欠損額が発生することとなる。
この特例残存欠損額は、翌事業年度において法人税法上、公益法人特別限度額に加算される。すなわち、翌事業年度において本来よりも9,999万円も公益法人特別限度額が増加することとなる。
仮に翌事業年度においても、A法人の収益事業の利益は2億円、公益目的事業の資金不足額は△2億円だと仮定すると、公益法人特別限度額は次のとおりとなる。
【アドバイス】
以上のように翌事業年度において、公益法人特別限度額を取り返そうとすることは、当事業年度において「50%ジャスト繰入」をした場合は選択できない。必ず「50%超繰入」をして別表A(2)を提出する必要がある。
Ⅳ まとめ
みなし寄付金の公益法人特別限度額から、法改正により収益事業の利益の50%が控除されることとなった。次の算式により一部の法人に予期しない増税を強いる結果となっている。
上記の増税の対象になる法人は、収益事業の利益1に対して、公益目的事業の資金不足額がおおむね1.5以下の法人である。
回避策はないわけではない。翌事業年度において、公益法人特別限度額を取り返そうとすることができる。しかし当事業年度において「50%ジャスト繰入」をした場合は選択できない。必ず当事業年度において「50%超繰入」をして別表A(2)を提出する必要がある。
税理士・行政書士・社会保険労務士。京都大学法学部卒。シンクタンク主任研究員を経て、中村コンサルティングオフィスを設立。公益法人・一般法人のコンサルティングを専門とする。
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