Vol. 1 収支相償の剰余金解消計画の策定

内閣府公益認定等委員会 事務局だよりPLUS+

内閣府公益認定等委員会の事務局による書き下ろしの新連載「事務局だよりPLUS+」
が始まります。この連載では法人が直面する課題について内閣府事務局から解決方法を示していただきました(編集部)。

 
収支相償に関する行政庁の考え方
 収支相償は、「公益法人は、その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない」(認定法第14条)という基準に基づいて、公益目的事業に係る収入と公益目的事業に要する費用を比較することになりますが、単年度で必ず収支が均衡することまで求めることはしません。仮にある事業年度において収入が費用を上回る場合であっても、公益目的事業拡充等に充てるための特定費用準備資金として計画的に積み立てるこ
と等で、中長期的には収支が均衡することが確認されれば、収支相償の基準は充たすものとされます。
 特定費用準備資金や資産取得資金の積立を活用してもなお剰余金が生じる場合には、以下の対応があります。

 
剰余金を翌年度に費消する場合
 翌年度に費消する場合には、剰余金の発生年度の事業報告書の別表A⑴の「※第二段階における剰余金の扱い」欄に、翌事業年度における解消が実現可能であることが分かる程度に具体的な剰余金の解消計画の内容を記載することが求められます。特に、法人の事業費に比して多額の剰余金がある場合には、事業拡大の達成可能性の観点から具体的で現実的な資金の使い道(事業費の費目)について十分に説明して下さい。また、事後的には、解消計画に従って剰余金が解消されたことについて、説明を求められることもあります。

 
解消計画立案を1年延長する場合
 また、発生した剰余金が翌事業年度における解消計画で適切に費消することができないことについて特別の事情や合理的な理由がある場合(注1)、(注2)には、使い道についてしっかりと検討した上で、より計画的に資金を活用し、効果的に公益目的事業を実施することが、公益の増進を目的とする認定法の趣旨に沿うものと考えられます。
 このため、次の①~③を前提に、収支相償の剰余金解消計画の立案を1年延長する取扱いが認められます。なお、この場合において、行政庁は、必要に応じて特別の事情や合理的理由、資金使途の内容等について確認することになります。

① 事業報告書の別表A⑴の「※第二段階における剰余金の扱い」欄には発生した剰余金が翌事業年度における解消計画で適切に費消することができないことについて特別の事情や合理的な理由を示すとともに、剰余金の解消計画立案のための検討のスケジュールを具体的に示すことが求められます。
② 翌事業年度に翌々事業年度の事業計画を提出の際に、機関決定された剰余金の解消計画を提出し、翌々事業年度において剰余金を解消するまでの具体的な資金使途の説明が求められます。なお、財務面から計画達成を担保するため、当該剰余金に見合う資金について、貸借対照表において特定資産として表示することが必要となります。
③ 翌々事業年度の事業報告において、剰余金が解消計画に従って解消されたか否かについて、資金の使い道を説明することが求められます。

 
【注】

(注1)合理的な理由とは、平年度における法人の事業規模に照らし、翌事業年度だけで剰余金を解消するには困難が伴うといった事情がある場合、例えば2年をかけて段階的に事業拡大を図ることが考えられます。
(注2)事業が恒常的に相当の黒字を生む構造になっている場合は、合理的な理由には含まれません。

文責●内閣府公益認定等委員会事務局

【収支相償の剰余金の取扱い】

※1 一定の場合とは、特別な事情や合理的な理由がある場合をいう。
※2 特定費用準備資金とは、将来の特定活動の実施のために特別に支出する費用として保有する資金であり、収支相償上は見做し費用として取り扱われる(認定規則18条) 。
※3 資産取得資金とは、特定の財産の取得又は改良に充てるために保有する資金であり、剰余金を当該資金に積み立てることで、収支相償の基準は満たすものとして取り扱う(認定規則22条3項3号)。

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