第4回 人はなぜ寄附をするのか(その2)
2018年09月13日
堀田和宏
(ほった・かずひろ 近畿大学名誉教授)
(ほった・かずひろ 近畿大学名誉教授)
(承前)
寄附は寄附者の物的資源を減らすことは明らかである。しかしまた、この物的コストを相殺するかもしれない無形の利益を伴うことができる。このような利益は、心理的安定、特権的な愉しみ、グループやフォーラムへの特典としての参加、高まる評判などである。
1人は寄附によって名誉、社会的地位、罪の救済、非営利組織のアウトプット支配などの形で私的便益を受け取る。排他的なスポーツ・イベントや文化イベント、食事会や舞踏会に参加できることから、有形の便益を得ることがある。また、これまでは参加できなかったサークルに新たに招かれるような会合にも参加できる。
2人は寄附それ自体から「それ相応の」務めを果たしたことから、次頁③で説明するウオームグローのような心理的な私的便益を得る。寄附者が自分の
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