理事長が欠席、定足数は足りているけれど……開催しても大丈夫?
(わしざわ・かつえ 全国公益法人協会 相談室職員/公認会計士)
理事長が欠席、定足数は足りているけれど……開催しても大丈夫?
当法人の理事会では例年、理事長が議長を務めています。しかし理事長が急病となり、次回の理事会に出席できないこととなりました。理事長が欠席しても定足数は満たしますが、理事会は開催できないのでしょうか。
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理事長不在でも開催可能です。定足数が鍵となります!
理事長(議長)が欠席していても、定足数を満たしていれば理事会は開催できます。理事会の成立要件は「議長の出席」ではなく、「理事の出席によって定足数が満たされていること」です。この場合は、定款または理事会運営規程に従い、出席理事の中から議長を選任して議事を進めるのが一般的です。
理事会の議長は誰が務めるべきか
法人法には、理事会の議長について明文の規定はありません。そのため、理事会の成立要件として「議長が必ず出席しなければならない」とされているわけではありません。
もっとも、理事会は複数人の合議体である以上、円滑に運営するためには議長(進行役)を定めるのが通常です。議長の定め方は法人の裁量に委ねられており、実務上は次のような運用が多く見られます。
多くの法人で代表理事(理事長)が議長を務めるのは、法人の業務執行を統括する立場にあることから、会議運営の中心として合理的と考えられているためです。
一方で、ガバナンスの観点からは、必ずしも代表理事が議長である必要はありません。例えば、理事間の自由な議論を促したい場合や、代表理事の業務執行をより明確に監督する姿勢を示したい場合には、代表理事以外の理事が議長を務める運用も考えられます。重要なのは、法人の実情に照らして、適切な体制を選択することです。
議長(理事長)が欠席する場合の対応
議長(理事長)がやむを得ない事情により欠席する場合、法律に詳細な定めがあるわけではありません。まずは、定款や理事会運営規程に、次のような規定が置かれていないか確認してください。規定があれば、それに従って対応します。
一方、定款等に定めがない場合でも、理事会を開催できなくなるわけではありません。実務上は、出席理事の中からその都度議長(進行役)を選任し、理事会を進行する方法が一般的です。
注意すべき実務上のポイント
議長の欠席対応で注意したいのは、後から「理事会が適正に運営されたこと」が説明できる状態にしておくことです。特に次の点は、実務上避けるべきです。
議事録の記載が不十分であると、理事会決議の有効性を巡って疑義が生じるおそれもあります。また、理事長の欠席が起こり得ることが想定される場合には、あらかじめ定款や理事会運営規程で代行ルールを定めておくことも有効です。理事会運営の安定性と透明性が高まります。
例えば議事録には「本理事会は、議長である理事長が急病により欠席したため、出席理事の互選により○○理事を議長に選任し、議事を進行した。」と記載するとよいでしょう。
「社内手続」も整理しておく
理事長が欠席しても理事会は開催できますが、理事会決議と、代表権の行使(対外的な契約締結など)や、業務執行上の決裁は別の問題です。
例えば、理事会で契約締結等の重要事項を決議した場合であっても、実際の契約書への署名・押印の手続は代表理事が行うことが多く、理事長が不在の場合には、誰がどのように代表権を行使するのかを事前に確認しておく必要があります。(※代表理事が複数いる場合や、職務代行者の定めがある場合など、法人の体制によって対応は異なります。)
本稿を機に、理事会運営規程等に「議長欠席時の代行・互選」ルールを明記しておくと理事会運営が安定します。欠席は誰にでも起こり得るため、想定しておくことで「開催できない」「決議が不安」といった事態を防ぐことにつながります。
国税専門官としての実地調査、監査法人での財務諸表監査、地方自治体の包括外部監査に従事した経験を活かし、相談室の事務局業務及び相談対応を担当。日本公認会計士協会では、非営利法人委員会公益法人専門部会専門委員、公会計委員会公会計制度専門部会専門委員等を歴任。
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