非営利団体こそリスクマネジメントを
(おにざわ・ひでまさ 公認会計士/日本公認会計士協会常務理事)
2009年、大学生のときに非営利の世界に入ってから16年以上が経ちました。その間に、ボランティア、NPO職員、NPO等の顧問、監事のほか、現在一般社団法人BLP-Networkの代表理事も務めています。
様々な立場で非営利組織と関わってきた経験を踏まえて今改めて感じているのは、非営利組織においてこそ、「リスクマネジメント」が重要ではないかということです。特に重要なことは「リスク」を単に「起きたら嫌なこと」ではなく、「事象が発生し、戦略と事業目標の達成に影響を及ぼす可能性」として、事業目標に影響を与える事象としてとらえることがポイントです。
営利と非営利の違いは様々ですが、私は「やるべきこと(ミッション)」から始まるのが非営利団体の最も重要な特徴だと考えています。非営利団体は、そのミッションがあるから、会員を募集したり、また、寄付・助成金を得て自分たちの事業を展開していきます。
限られたリソースの中で、費用や時間を「直接事業」に投じるか「間接部門(管理コスト)」に回すかは常に悩ましい問題です。しかし、何を守らなければならないのかを自団体の目標との関係で明確にすることで、優先すべき(費用や時間を投下すべき)リスクが明確になります。その結果、間接部門に必要なリソースの確保もしやすくなるほか、ステークホルダーからの信頼感も高まり、よりミッションの達成が確実になります。
リスクマネジメントといえば、全社的にガバナンス・コンプライアンス関係のリスクを洗い出すような「重い」イメージが持たれがちです。しかし、リスクマネジメントは必ずしもそのような大掛かりな方法でやる必要はありません。例えば、新規のプロジェクトを企画及び実行するときに、何がリスクなのかを挙げてみる、という方法によってもその効果を実感できると思います。
また、リスクを言語化しておくことで、外部の専門家との連携もスムーズになります。これまで説明が難しかった間接部門の重要性が明確になり、結果として組織の足腰を強くすることにつながります。
ぜひ、本誌の読者の皆さんも、まずはプロジェクト単位でもかまいませんので、「この事業のリスクは何か」「ミッションとの関係で重要なリスクは何か」を考えてみてください。その積み重ねが、各非営利団体が目指す社会の具体化及びその実現に貢献するのではないかと思っています。
自分自身、弁護士として、1 つの非営利団体の代表として、できることを1 つずつ積み重ねていきたいと思います。
東京大学法科大学院修了後、教育系NPOでのフルタイム勤務を経て、弁護士。NPO法人等の社会課題の解決支援を行う弁護士ネットワーク「BLP-Network」を設立し現在代表を務める。NPO法人新公益連盟の監事。著書に『NPOの法律相談[改訂新版]』(共著、英治出版)。大手法律事務所勤務を経て、2017年おにざわ法律事務所を設立。
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