もっと寄附を集めませんか?
(おおの・たく 内閣府公益法人行政担当室長 公益認定等委員会事務局長)
断トツの最下位。寄附額の所得に対する割合について英国の団体(CAF:Charities Aid Foundation)が行った調査結果である。世界平均が1.04%、ドイツ(100位)が0.39%、日本(101位)が0.16%。国際比較の常として眉に唾を付けてみる必要があるとはいえ……。
聖武天皇の大仏造立の詔に見られるように日本には寄進・勧進など寄附の古い伝統がある。国立科学博物館のクラウドファンディングに10億円近い寄附が集まったことも記憶に新しい。日本に寄附の文化がないはずがない。
近年、社会貢献をしたい人が増えているという声を聞く。富裕層寄附調査(内閣府の委託調査。本年5月公表)では、実際に寄附をした人以外にも、寄附を検討中の方、機会があれば検討したいとする人が相当数いることが示された。それなのに、なぜ、寄附が少ないのか?
公益法人・信託制度の運用に、予見可能性の向上など課題があることは否定しないが、制度見直しも進んでおり、制度だけに原因を求める見解には賛同できない。
税制。細かいことを言えばきりがないが、日本の公益法人税制は、例えば米国と比べても、大きく見劣りするものではないと考えている。
前記CAFの調査では、社会において“Charity”が果たす役割についての認識と、“Charity”に対する信頼が、他国と比べて顕著に低い結果となっており、寄附が少ない理由として、目を逸らすべきではない。
寄附者に財布の紐を緩めてもらうのは容易ではない。富裕層調査で何人かの話を聞く機会を得たが、彼らは、社会課題解決のために資金を出したいと考えると同時に、寄附に見合った「成果」を求める印象を受けた。事業で成功した人が、社会貢献にも効率性や成果を求めるのは当然であろう。お金を出す以上、ガバナンスや説明責任に対する要求水準も高くなる。
公益法人などの非営利法人(Charity)が効率的・効果的に事業を行い、その成果を示すことで“Charity”が社会を支えており、それを自分達の寄附が支えているという実感が得られる。その実感が寄附を促すのではないか。
現在、公益法人の約半数は寄附金収入0である。より多くの公益法人が寄附を求め、潜在的寄附者の要求水準を満たすよう、組織を強化し、戦略的に事業運営を行い、その成果を示すことが望まれる。そうした取組みの結果として、“Charity”が社会を支え、“Charity”を社会が信頼し、“Charity”に寄附が集まる社会が実現するのではないか。令和の公益法人・信託改革が目指す社会である。
僭越を承知で提唱したい。「もっと寄附を集めませんか!」と。
行政不服審査法の見直しや規制改革(ハンコの見直し)にも携わるなど霞が関の界隈に約30年。公益法人・公益信託関係の仕事は、「天下り問題」と「仕分け」に翻弄された時代も含めて合計8年。令和5年の夏から公益法人・公益信託改革の推進に携わり、改正法の立案作業、内閣府令等の検討、ガイドラインの検討などに従事。最近は、公益信託の普及に力を入れている。
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