【景気短評】毎月勤労統計の改善

山澤成康
(総務省統計委員会担当室室長)

 安倍首相の経済政策であるアベノミクスは、デフレ経済から脱却し、適度なインフレ(持続的な物価上昇)を実現することで経済を正常化させようとしている。しかし、物価が上がる一方で所得が変わらなければ実質所得は減少してしまう。賃金が増えていくかどうかが、景気の持続的拡大のカギとなり、賃金の統計に今、注目が集まっている。
 賃金の統計としては、厚生労働省の「毎月勤労統計」が月次で産業別、規模別、雇用形態別に発表されており注目度も高い。
 この統計は全国の事業所の中からサンプル(標本)を選んで調査し、全体の数値として発表している。2015年1月のサンプル替えでは、大きな問題が起こった。2014年の現金給与総額がサンプル替え前の0.8%増から0.4%増へと大きく下方修正された。0.8%の増加な
                           

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