法人税申告のための収益事業決算書のできるまで―担当者なら知っておきたい会計と税務の違い―
2019年02月14日

船山 奨
(ふなやま・しょう 税理士)
(ふなやま・しょう 税理士)
- CATEGORY
- 税務・法人税
- 対 象
- 公益法人・一般法人(非営利型)
目 次
- はじめに
- Ⅰ 法人税法上の決算報告書の役割
- Ⅱ 法人税法上の決算報告書と会計上の決算報告書の同異点
- Ⅲ 法人税法上の収益事業と非収益事業に対する共通経費の配賦基準
- Ⅳ 他会計振替額とみなし寄附金について
- 1 他会計振替額
- 2 みなし寄附金(公益社団・財団法人のみ)
- Ⅴ 具体的な様式と作成方法
- 1 設例の前提
- 2 正味財産増減計算内訳表から区分経理表の作成
- 3 貸借対照表内訳表から区分経理表の作成
- Ⅵ 固定資産に関する区分経理の取扱い
- おわりに
はじめに
公益社団及び財団法人並びに非営利型の一般社団及び財団法人(以下「公益法人等」という。)は収益事業を行う場合、内閣府や都道府県への提出などを目的とした公益法人会計基準に則った決算報告書に加えて、税務署へ提出する法人税申告書に添付する区分経理をされた決算報告書を作成しなければならない。法人税法に定められた区分経理とは、収益事業と非収益事業を区分するものだが、法人税法上の「収益事業」は会計基準等の「収益事業」とは異なるものである。
本稿では法人税法上の決算報告書の役割や会計上の決算報告書との差異などの解説を行うとともに、収益事業を行う公益法人等の経理担当者に、会計基準により作成された決算報告書から、法人税申告書添付用決算報告書を作成する手順を具体的な図表などを交えながら解説する。
なお、公益認定された法人、移行法人、その他の法人で会計基準による決算報告書の内訳表示が異なるが、法人税法の区分経理においては同一の処理となる。また、法人税申告書の基礎的な考え方なども紹介するので、この機会に法人税の理解も深めてみたい。
Ⅰ 法人税法上の決算報告書の役割
法人税法では、収益事業を行う公益法人等に収益事業と非収益事業を区分して経理を行い、収益事業について申告を義務としている。ここでいう収益事業とは事業場を設けて継続して行う事業のうち、法人税法で定め政令により限定列挙された34業種及びその付随事業を指す。すなわち、この34業種に該当する事業を行った場合には、収益事業として区分経理し、34業種に該当しない取引は非収益事業として経理し、法人税を計算して申告を行うことになる。
法人税を計算するためには、基礎となる各事業年度の所得金額を
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