[1]第1部 わが国公益法人制度の概要(前編)

公益法人制度の変遷と今後の課題
渋谷幸夫
(しぶや・ゆきお 全国公益法人協会特別顧問)

はじめに

 2008(平成20)年12月1 日に公益法人制度改革関連三法が施行され、既に10年を経過した。1896(明治29)年制定の民法の下にスタートした公益法人制度は、民間公益活動の重要な担い手として、我が国における学術、芸術文化、社会福祉、国際協力、自然保護などの各分野において重要な社会的機能を果たし、その発展に寄与してきた。
 しかし、従来の公益法人は、新たな市民社会の主体として、また、民間非営利活動の多様なニーズに対応するために必要とされながらも、公益性の判断の不明確性、あるいは縦割りの事業しかできない主務官庁制等により、自由で柔軟な活動ができないという問題が多かった。
 新しい法人制度により、従来の公益法人から新公益法人としてスタートした法人、要件的に新公益法

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