公益法人会計を学んでトクしたこと3選 会計バカ一代が教える(YouTubeより)
※本記事はYouTube動画より書き起こしたものです。一部読みやすいように加工してあります。
公益法人会計を学んでトクしたこと3選 会計バカ一代が教える(https://www.youtube.com/watch?v=D2cFiuZTK6M&t=540s)
公益法人会計を学んで得すること3選
こんにちは、大原大学院大学会計研究科教授の古市でございます。
今回は「公益法人会計を学んで得すること3選」についてご説明致します。
公益法人会計を学ぶメリット
今回このテーマでご説明させていただきたいことはタイトルの通りですが、公益法人会計を学ぶメリットを3つご説明させていただきたいと思います。
特に公益法人会計を担当されている方、公益法人会計に携わる方、これから公益法人会計に携わろうとする方が、公益法人会計を学ぶメリット・個人としてのメリット、そして法人としてそのような学びを後押しする、あるいは法人の方として、個人運営において公益法人会計に精通することがどのようにメリットを持つのか。
法人側のメリットについて、個人としてのメリット、そして法人としてのメリットについて、それぞれご説明したいと思います。
メリットについて、大きく3つ挙げさせていただきました。
まず「公益法人会計という専門的なスキルの修得につながる」という点です。
公益法人会計に限りませんが、企業会計も含め、会計はいわば一種の特殊能力です。
普段、普通に生活をしているだけでは身につくけることができません。
例えば「自転車に乗る」といったことは普段の生活で身につきますが、会計は専門の勉強をしたり、特定の実務に携わることによって初めて身に着けることができるスキルです。
ですので、当然そのスキルを持ってる人と持っていない人の間に大きな差がつきます。
では、スキルを持ってる人にとってどのようなメリットがあるのか?
そのことについて考えていきます。
また、公益法人の会計をよく知っている人は、会計情報を作成することはもちろんですが、それを活用することができるようになります。
いわゆる会計情報の利用活用という視点です。
会計情報の利用活用から会計情報がを判断できるようになりますと「法人の長期的な運営に役立つ現状の分析が可能」になります。
このように会計情報に基づく客観的なデータを知ることによって、これから先の将来における法人運営にどのような選択肢があるのか、どのような形で事業を行っていくことができるか? ということを知ることができます。
以上の3点ご説明させていただきます。
圧倒的なスキルの習得
まずは1点目、「圧倒的なスキルの習得」について。
これは主に個人としてのメリットです。
公益法人会計のプロフェッショナルはまだまだ人材不足と言われています。
もちろん実務家の方もそうかも知れません。
また、会計士や、税理士と言われたいわゆる会計プロフェッションの方々においても同様です。
企業会計について精通しておられる方は多くいらっしゃいますが、試験科目に公益法人会計に関する部分、非営利会計に関する部分は、大きな影響を占めているわけではありませんので、公益法人会計については経験や実務を積んで知識を習得していく必要があります。
つまり実務にあたってはどんな専門家も学習が必要ということで合わせてまとめさせていただきました。
一方で、公認法人会計のプロフェッショナルを求める需要、人数は非常に多くなっています。
公益法人という形態、あるいは一般法人という形態であれ営利活動をこれから行なっていきたいとお考えの方は多くいらっしゃいます。
そのような中で「会計が特殊である」「ちょっとよくわからなそう」という方は専門家に助言を求めます。
このような企業に対し対応できる専門家、会計士、税理士さんのような会計プロフェッション、実務として、経理を担当する方、会計実務については、能力、社会的に非常に必要とされています。
また、企業の場合には上場会社と中小企業で会計に求められる会計のフレームワーク基準が大きく異なります。
ですが、公益法人会計の場合は、公益法人として活動をしていく過程で比較的小規模な法人についても規模の大きい法人と同じような基本的な意味を有する公益法人会計基準を使っていく必要が生じます。
ですので、規模の大小問わず多くの場で公益法人の運営においての会計のプロフェッショナルが必要とされているのです。
長期的な法人運営に役立つ分析が可能に
そして2点目です。
「法人にとっての改定について」を知ることにどのようなメリットがあるのか?という点です。
公益法人会計は一部の方からご指摘ありますように、率直に言ってかなり複雑で面倒な処理、煩雑な処理も含んでると思います。
企業会計との違いもあり、分かりにくい部分というのも確かにあります。
そのような中でどのように会計を作っていくか?というのは上述しているように、プロフェッショナルの要請が必要になり、精通した方が必要になってくるわけです。
会計情報が作成でき、その情報の意味するところがわかる時に多くの情報を得ることができます。
具体的には、以下のようなことを知ることができます。
会計情報の作成によって得られる情報の例
- ・どのような形で法人運営にあたってコストが発生しているのか?
- ・財政状態がどのような形で整っているのか?
- ・税制基盤は整っているのか?
ここではあえて財務体制という言葉を使わせていただきました。
「今後、継続的に法人が活動を行っていけるだけの財務体質が備わっているのかということ」を知ることができるようになります。
長期的な法人運営にこれらは役立つ分析の材料となるのです。
一般法人、公益法人の多くの方が、それぞれ法人が抱えておられるミッションを達成したいと思って本当に努力していらっしゃいますが、非常に平たい言い方、くだけた言い方をさせていただくならば、やはり、先立つものが必要になります。
会計というのはお金の計算です。
会計についての情報から客観的な判断をする、置かれてる状況でベストな選択をしていくということは、ミッションを達成するために、そしてその組織が継続的に活動していくために必要なことです。
もちろん活動それ自体は会計情報によってのみ中身が示されるわけではありません。
企業ではありませんので利益という成果情報があるわけではありませんが、会計情報からわかる分析によって問題をしっかりと意識していくことや、ポストについての在り方、財務体質の在り方と考えていくならば、長きにわたって安定して法人が活動していくことができるということに繋がっていきます。
会計情報を役立てて運営していくことは、非常に大事になってくると思います。
ですので、作成してそれで終わりというよりもそれを読む力がとても重要になってきます。
会計情報の作成に本当に多くの努力を払っておられると思います。
ですが、規程で定められているから、求められているから作成するということで作って終わりにするのではなく、それプラス、そこから何がわかるのかとういうことを考えて初めて会計情報は役に立ちます。
どう使うか?というところまで考えていければ、公益法人会計を学ぶメリットは非常に大きいのではないかと言えるでしょう。
広がる法人運営の選択肢
上記のようにして得た客観的な情報、数値情報データは、具体的な公益法人の今後の運営について、将来の運営についての選択肢が広げることに繋がります。
例えば、現在一般法人として活動していて今後公益認定を取得を考えていらっしゃる法人の場合は、具体的に公益認定を受けるといわゆる変形基準でいうところの経理的基礎をクリアしていくためにどれぐらいの作業が必要になってくるのか?、認定基準を継続して満たしていくためにどういう作業が迫ってくるのか?といったことにも役立つと言えます。
そして、このような活動をし、実際に取り組みをしてみて今後の事業拡大をしていくうえで「公益認定、本当に必要なのか?」という判断や、「その会計情報をもとに、質をどのように充実させて行くか」「限られた予算・資源を有効に使っていくか」ということを判断をする材料にもなり得ます。
ですので、まず会計情報でどのような状況に今法人があるのか考えた上で今後の方針を考えていくことができますので、会計情報を有効に使っていただければと思います。
あわせましてそれは法人の現在地を知るきっかけにもなります。
無駄がないのか?
あるいは比較的思ってる以上に余裕があるという場合があるかもしれません。
もし余裕があるのであればそれを上手に使ってより充実した活動を行っていくという将来が見えてくるかもしれません。
そういった意味では会計情報が示している内容を知ることができるという点で、公益法人関係の学びに非常に役立つと思います。
最後に今回ご説明させていただいた点をまとめさせていただきたいと思います。
公益法人会計の学習は個人にとっても、法人にとっても広がる未来があると思います。
実務家としてのスキルアップもあります。
そして法人運営の見直しに必要な情報をまず獲得することもできます。
獲得した情報を基にして、法人の発展、必要な内容の充実といったものを考えていくことができるでしょう。
公益法人会計を学ぶことで、個人として、あるいは法人としてさらにその世界が広がっていく、多くの点に役立つと考えております。
以上3点、ご説明させていただきました。
ありがとうございました。
古市 雄一朗
大原大学院大学会計研究科教授・同大学社会科学研究所副所長
福山大学専任講師、准教授、大原大学院大学准教授を経て2021年4月より現職
会計大学院協会理事
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