補助金のコスパを考える 
―解散に追い込まれた観光協会の事例―

吉田忠彦
(よしだ・ただひこ 近畿大学教授)
 

Ⅰ はじめに

広島県安芸高田市の観光協会が市長から 「コスパが悪い」という理由で補助金を半減され、運営を継続できなくなり2023年3月に解散に追い込まれた。日本の地方の置かれた状況や施策の在り方をめぐって、今後の検討すべき多くの課題が浮き彫りになっている。これまでの地方行政の在り方を見直さねばならない時期になっていることは確かであろうが、その対応の道筋はまだ手探りの状態である。様々なサービスを提供してきた自治体が、その手段としてきた施設、外郭団体、そして補助金をどうすべきであるか。それをめぐる葛藤の表れとして安芸高田市観光協会のケースを検討してみたい。 

Ⅱ 助成金と補助金の違い

1  小さな市で起こった市長の辞任

安芸高田市は広島県の北部に位置する人口2万6,749人(2023年10月時点)の市で、その周辺地域と同様に過疎化、縮小化が進行している自治体である。この地方の、市としては小さな自治体に大きな事件が起こったのが 2020年だった。その前年の参院選をめぐり、票の取りまとめに絡んで当時の市長と議員3名が現金を受領したことが発覚し、辞任したのである。 
市長の辞職を受けて、副市長が後任の市長選挙に立候補を表明し、他に候補がないという状況だったが、そのニュースを耳にした同市出身でメガバンクに勤務していた石丸伸二氏が立候補し、当選した。石丸氏は当時37歳だったが、得票率は60%を超えた。

2  補助金半減と観光協会の解散

メガバンクでのキャリアを投げうって市長に就任した石丸氏は、就任の翌月には一般質 問で市議の1人がいびきをかいて寝ていたとSNSに投稿して議会を刺激し、さらにその件をめぐって他の議員からの恫喝があったと投稿し

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