嘱託職員との契約時の留意点―法改正と労働条件の新基準―
2024年07月14日

種村泰一
(たねむら・やすひと 弁護士)
(たねむら・やすひと 弁護士)
Ⅰ はじめに
公益・一般法人では、「嘱託」の方と契約を結び、法人の業務にあたっていただくことがあります。この点に関し、2023年 4 月にはフリーランス新法が成立し、対象者との取引(契約)について規制等がなされることとなりました(施行は本年秋頃)。これに伴い、公益・一般法人の対応が問題となります。「嘱託」の方との契約が雇用契約であれば労働基準法や労働契約法等個別労働関連法規が、業務委託契約であれば基本的にはフリーランス新法が適用されますが、雇用契約に関しても労働基準法施行規則が改正されました。そこで、「嘱託」の方との契約における留意事項等全般についてご説明することとします。
Ⅱ 「嘱託」の法的地位
1 「嘱託」との契約関係
法人では、正職員のほかに「嘱託」の方と契約を締結することがあります。しかし、「嘱託」は法律的な概念ではなく、あくまでも俗称にすぎません。この点については、「嘱託」との契約内容に着目すると、雇用型と業務委託型に大別することができます。簡単にいえば、雇用型とは、法人と「嘱託」との間で労働契約が締結されている場合をいい、業務委託型とは、法人と「嘱託」との間で業務委託契約を締結している場合をいいます。ところが、形式上は当該「嘱託」との契約が業務委託契約となっていても、実質的には労働契約であると判断されることがあります。
実質が労働契約であると判断される場合には、当該「嘱託」との法律関係には個別的労働関連法規が適用され、また、労働組合法上の労働者に該当するのであれば、労働組合法も適用されることになります。つまり、労働関連法規の適用を免れようとして、形の上で業務委託契約を締結したとしても、結果的には適用を免れ得ない
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