制度改正のポイント
―外部理事・監事の基本と導入の意義―
2025年12月14日
半田 茂
(はんだ・しげる (公社)非営利法人研究学会元理事
(一財)日本自動車研究所元代表理事・専務理事)
(はんだ・しげる (公社)非営利法人研究学会元理事
(一財)日本自動車研究所元代表理事・専務理事)
Ⅰ はじめに
2025年4月に施行された公益法人制度改正を機に、全国公益法人協会に「外部理事・監事の選任」に関する問合わせや相談が増えています。規模の小さな法人では外部理事・監事の選任を初めて行うというケースが多く、どう取り組んでよいものか、悩む声が少なくありません。そこで、主に中小の公益法人及び公益認定取得を目指している一般法人向けに、外部理事・監事の選任について基本とすべき考え方から、外部理事・監事の探し方や依頼の仕方、選任の際の留意点などについて、実践に役立つ視点から筆者の経験を踏まえ整理しました。読者の一助となれば幸いです。
Ⅱ なぜ、外部理事・監事が求められるのか
1 制度改正が求めるガバナンス強化
⑴ 「自律的ガバナンスの充実」の一環としての外部理事・監事 2025年4月施行の公益法人制度改正では、社会の変化やニーズの多様化を踏まえて、制度の「使い勝手」を向上させることが強調されています。具体的には、「収支相償原則の緩和」などの財務規律の柔軟化・明確化や、「行政手続の簡素化・合理化」により、民間による公益活動の一層の促進が図られています。
一方で、「区分経理の原則化」や情報開示の強化などの「透明性の向上」、法人自らの「自律的ガバナンスの充実」も求められており、その一環として、外部理事・監事の登用が義務付けられました。これは、近年の経済界におけるガバナンス強化を象徴する大きな流れを公益法人制度にも適用するもので、この流れは今後も継続することが見込まれます。
なお、外部理事の設置については小規模法人に対する例外規定がありますが、外部監事については例外規定がなく、設置が必須になります(注1)。
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