名ばかりでは済まされない理事長職

堀田和宏
(ほった・かずひろ 近畿大学名誉教授)
  Summary 理事長は「お飾り」ではなく、法的な代表権と重い業務執行責任を負う組織の最高責任者である。その本質的機能は、理事会(長)と経営者との間の「統制と支援のパラドックス」を抱えつつ、両者の確執を健全な「創造的緊張」へと昇華させることにある。経営者が問いを「設計」し、理事長がそれを「運用・正当化」する役割分担が意思決定の質を高める。理事長には、職位による権限だけでなく、誠実さや洞察力に裏打ちされた「人格的権威」が不可欠である。変革型及びサーバント型リーダーシップを発揮し、私物化を戒め、組織の存在価値を体現する職責が求められる。  

Ⅰ 理事長職と“シャッポ”

 理事長(代表理事)を「シャッポ」(chapeau=帽子)と呼ぶのは、理事長は組織の頭の上に乗っかった防具ないしは飾りであるとの例えで、ここでは「お飾り」の意味である。有体に言えば、頭脳(組織の中枢)の上に「乗っかっているだけ」の存在で、「組織の中枢には関わらない」と自称するか、揶揄される言葉である。
 ただし、このシャッポには、責任を負わせる場合には「シャッポを被せる」といい、よく言えば最後に責任をとる人という含意がある。
 初めにお断りしておかなければならないことは、名ばかりの理事長と言っても、自称と他称の場合があることである。危機に遭遇した時に、「シャッポにすぎない」と言う理事長の「怖さや凄さ」を思い知ることがある。実は自分で謙遜してみせているだけで意外に「自信家」である場合、難事に決断力を示すこともある。自分を指して言うのであって、理事長の一部の類型にすぎない。
 むろん、本当に「名ばかり」なのに居座る理事長は、組織が危機に遭遇した時に辞めてもらうために在籍している。金銭欲や名誉欲の塊の人でもあり、

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