横領を防ぐ経理環境とは(事例を用いた検討)

西村拓哉
(にしむら・たくや 公認会計士)※本記事は専門誌『公益・一般法人』には掲載されておりません。
『公益・一般法人オンライン』のみに掲載のオリジナル記事です。
「石川や浜の真砂子は尽くるとも世に盗人の種は尽くまじ(浜の砂が全部なくなっても盗人の種はなくならない)」という石川五右衛門の辞世の句にあるように、洋の東西、時代を問わず残念ながら横領事案は生じてしまうものである。こういった、事案に対して法人の経営者は打つ手はないのか?
上場企業の会計不正の例にはなるが、日本公認会計士協会「上場会社等における会計不正の動向(2023年版)」によると、2019年3月期から2023年3月期において、会計不正の発覚の事実が公表された172件の会計不正のうち、発覚経路の記載がない32件を除いた140件の発覚経路は、以下のとおりである。内部統制等27%
当局の調査等23%
取引先からの照会等17%
内部通報16%
公認会計士監査13%
内部監査4%内部統制の構築、公認会計士監査、内部通報、内部監査など経営者が体制整備をすることにより発見の可能性を高めることはできそうである。
本稿では、不正を発見する内部統制としてあるべき経理環境について、事例を用いて検討したい。
元事務員の女性が××年から5年半にわたり、不正経理を行っていた。Aは元事務員と当時の専務理事2人の計3人に対し、不正経理額1千万円の損害賠償を求めて地裁に提訴したうえ、刑事事件として警察署に相談した。Aの専務理事は自治体OBが務めている。この法人の主な業務は、自治体からの受託業務である。
訴状等によると、元事務員が経理を担当していた期間に、元事務員が管理していた預金口座に趣旨不明の出入金が多数確認され、出金が約1千万円超過していることが判明した。
(にしむら・たくや 公認会計士)※本記事は専門誌『公益・一般法人』には掲載されておりません。
『公益・一般法人オンライン』のみに掲載のオリジナル記事です。
不正経理の現状と統計データ
新聞やインターネットニュースの報道でも、法人に関する不祥事が繰り返したくさん報道されている。「石川や浜の真砂子は尽くるとも世に盗人の種は尽くまじ(浜の砂が全部なくなっても盗人の種はなくならない)」という石川五右衛門の辞世の句にあるように、洋の東西、時代を問わず残念ながら横領事案は生じてしまうものである。こういった、事案に対して法人の経営者は打つ手はないのか?
上場企業の会計不正の例にはなるが、日本公認会計士協会「上場会社等における会計不正の動向(2023年版)」によると、2019年3月期から2023年3月期において、会計不正の発覚の事実が公表された172件の会計不正のうち、発覚経路の記載がない32件を除いた140件の発覚経路は、以下のとおりである。内部統制等27%
当局の調査等23%
取引先からの照会等17%
内部通報16%
公認会計士監査13%
内部監査4%内部統制の構築、公認会計士監査、内部通報、内部監査など経営者が体制整備をすることにより発見の可能性を高めることはできそうである。
本稿では、不正を発見する内部統制としてあるべき経理環境について、事例を用いて検討したい。
実際の事例分析: 自治体の外郭団体における不正経理
(事例) ある自治体の外郭団体である一般社団法人Aで1千万円の使途不明金があることが分かった。元事務員の女性が××年から5年半にわたり、不正経理を行っていた。Aは元事務員と当時の専務理事2人の計3人に対し、不正経理額1千万円の損害賠償を求めて地裁に提訴したうえ、刑事事件として警察署に相談した。Aの専務理事は自治体OBが務めている。この法人の主な業務は、自治体からの受託業務である。
訴状等によると、元事務員が経理を担当していた期間に、元事務員が管理していた預金口座に趣旨不明の出入金が多数確認され、出金が約1千万円超過していることが判明した。
内部統制の不備とその影響
当該事案については、発覚経路は明らかになっていないが、5年半にわたる不正会計が見過ご月刊公益オンラインとは
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