どんな社会貢献事業も公益目的事業になる!?(公益認定法2条別表)


※本記事はYouTube動画より書き起こしたものです。一部読みやすいように加工してあります。

 

こんにちは、出口でございます。

 

「公益」と別表該当性


国立民俗学博物館・総合研究大学名誉教授
出口正之

 

本日は「公益目的事業とはなんぞや?」ということで公益認定法(2条関係)の別表についてお話をさせていただきたいと思います。

 

是非 公益認定の申請を


およそ公益のための事業は公益認定法の別表の中にすべて含まれております。

公益認定法で列挙される別表各号のいずれかに含まれるものとして設計されております。

「別表に該当するものがないから、社会のための活動なのに、公益認定されない」=別の都市伝説

そんなことはあり得ません!!

 

公益認定法では、「公益目的事業に相当する事業」が別表という形で限定列挙されております。ところが、およそ公益のための事業というものは、この別表の中にすべて含まれるように設計されています。
したがいまして、別表に該当するものがないから社会のための活動なのに公益認定されない――これが新たな都市伝説となっています。
しかし、そんなことは決してありません!
そのことを今日はお話したいと思います。

 

公益目的事業の定義


公益認定法

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(一から三 略)

四 公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。

別表に該当し(A)であっって不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与(B)としてAとBに分けて考える。

 

公益認定法の二条第二条四号には、公益目的事業とは「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう」と定義されております。
図の黄色の部分と青い部分をそれぞれA・Bとすると、AであってかつBであるということで公益目的事業を定義しております。

 

今回の動画の範囲


今回の動画では別表各号に掲げる種類の事業(A)の部分を解説します。

不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの(B)の部分は次回の動画で解説します。

 

このうちAの部分についてはここで解説いたしますが、およそ公益と思われる事業についてはどこかに該当するように作られております。
また、Bの部分については、あらためて次回解説させていただききたいと思います。

 

それでは、第2条の別表を具体的に見てみますと、このように学術及び科学技術の振興を目的とする事業とかいったことが書いてあります。

 

別表(第2条関係)とは


一 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
二 文化及び芸術の振興を目的とする事業
三 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
四 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
五 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
六 公衆衛生の向上を目的とする事業
七 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
八 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
九 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵かん養することを目的とする事業

 

したがって、皆さんが行いたいと思っている事業がこれに該当するというものがあるでしょうし、近いけれどもぴったりではないなというなところもあろうかと思います。
しかし、その懸念は無用です、大丈夫なのです。
どうしてかと言いますと、次の図の十四号があるからです。

 

別表(第2条関係)とは


十 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
十一 事故又は災害の防止を目的とする事業
十二 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
十三 思想及び良心の自由、 信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
十五 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
十六 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
十七 国土の利用、 整備又は保全を目的とする事業

 

これについては後で説明いたしますが、さらには二十三号には、「前各号に掲げるもののほか公益に関する事業として政令で定めるもの」と書かれています。

 

別表(第2条関係)とは


十八 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
十九 地域社会の健全な発展を目的とする事業
二十 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活 性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
二十一 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
二十二 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
二十三 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの

 

つまりは、この二十二までのところに入っていない事業は二十三のところであとあと政令で定められているのかな――そう思われる方も多くいらっしゃるかもしれません。しかし、そうではございません。
どうしてかと言いいますと、二十三号では「政令で定めるもの」とされていますが、実は政令が定められてはいないのです。
ですから、二十三号は実際には使えないのです。

 

どうして定めなかったかというと、実のところは該当しないものがないのではないかと考えられます。

 

別表にほぼすべての公益活動が該当します。


23号 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの
⇒ 政令を定めておりませんから、第23号は使えません。

該当しそうにないものについても、下記には必ず入ります。
十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業公益に関する事業

⇒ 例えば男女共同参画社会の形成 (ここまで例示) などのよりよい社会の推 進を目的とする事業。
およそ世のため人のための事業(公益の事業)は別表のいずれかに入ると考え られます (内閣府公益認定等委員会公開議事録)。

 

と言いますのは、十四号には「男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業」とありまして、法律の読み方として、「その他の」というふうに書いてある場合、その前に書かれてる部分は「例示」ということになります。
ですから、ここの部分を読み下すと、例えば、「男女共同参画社会の形成などのより良い社会の推進を目的とする事業」と考えていただいて結構です。
つまり大事なのは図の青い部分でして、この男女共同参画社会というのはその一例に過ぎないということです。
くどいようですが、およそ世のため人のための事業、公益の事業は、別表のいずれかに入ると考えられます。これは公開されている内閣府の公益認定等委員会の公開議事録に明確に示されています。

 

ところが、都市伝説というのはもっともっとあるんですね。例えば休眠預金活用という法律ができまして、これについての政府の審議会で現職の内閣府公益認定等委員会の委員がこの新しい法律で休眠預金を民間の公益活動に活用する、そういう事業をするというんですが、その際、全国で一つの要の法人ができます。指定活用団体と言いいますが、これについて、「認定法の2条4号の別表に休眠預金というものはないからこれは公益法人にはなれない」と発言して、議事録にも載っています。

 

都市伝説=休眠預金活用の要の法人は公益となれない(?)


ある政府の審議会で内閣府公益認定等委員会委員(当時)の発言内容です。

新しい法律で休眠預金を民間の公益活動に活用する際の全国で1つの要の法人(「指定活用団体」 と言います)は、「公益認定法の第 2条4号の別表に該当しないから (公益法人になれない)」

公益法人になれるために強いてあげるとしたら、「23号の前各号に掲げるもののほか、 公益に関する事業として政令で定めるもの」くらいしかないと驚きの間違った発言 (公開議事録)。

それ以降、公益を目指す法人は大いに気を削がれた(?)

 

「公益法人になれるために強いてあげるとしたら二十三号の政令で定めるものくらいしかない」というような驚きの、はっきりと間違った発言ですね。
こういった都市伝説のために、ある意味で、自分は公益活動をやろうと思っていたのに別表にぴったりするものがないと受け取られ、その結果、公益を目指そうという法人は気をそがれてしまう。そういうことが実際に起きています。
これはとんでもない話で、絶対にそんなことはありません!

 

都市伝説=休眠預金活用の要の法人は公益となれない(?)


ある政府の審議会で内閣府公益認定等委員会委員(当時)の発言内容です。

新しい法律で休眠預金を民間の公益活動に活用する際の全国で1つの要の法人(「指定活用団体」 と言います)は、「公益認定法の第 2条4号の別表に該当しないから (公益法人になれない)」

公益法人になれるために強いてあげるとしたら、「23号の前各号に掲げるもののほか、 公益に関する事業として政令で定めるもの」くらいしかないと驚きの間違った発言 (公開議事録)。

それ以降、公益を目指す法人は大いに気を削がれた (?)

そんなことは絶対にありえません!

 

こんな都市伝説は打ち破り、ぜひとも公益認定をしていただきたい、私はそのように思っています。

 

是非 公益認定の申請を


こんな都市伝説を打ち破り、

是非 公益認定の申請を!
立法趣旨は「公益の増進」!!

 

立法の趣旨は公益の増進にあるからです。

 

以上です、ありがとうございました。

 

解説者Profile
出口 正之
内閣府公益認定等委員会元委員 /(公財)助成財団センター 代表理事・理事長 /(公社)非営利法人研究学会 理事 / 専門誌「公益・一般法人」編集委員長 / 国立民族学博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授
政府税制調査会特別委員、非営利法人課税ワーキング・グループ委員、内閣府公益認定等委員会常勤委員などを歴任。
主な著書に『公益認定の判断基準と実務』(全国公益法人協会)、『初めての国際学会』(日本評論社)、『フィランソロピー 企業と人の社会貢献』(丸善)など。
公益・一般法人の無料電話相談

公益・一般法人オンラインとは

財団法人・社団法人に特化した支援プログラム"シェアコモン200"の利用法人様向け実務専門誌『公益・一般法人』の記事を中心に、公益・一般法人に関するニュースや専門家による解説などをお届けする情報配信プラットフォームです。

詳しくはこちら
専門誌

無料登録のご案内

「公益・一般法人オンライン」に無料登録すると、登録の方限定の記事をご覧いただけるなど、実務に役立つさまざまな特典をご用意しております。

特典1

限定記事や
実務カレンダーが読めます!

「公益・一般法人オンライン」の無料登録の方限定記事や各月の事務局の作業内容がつかめる「実務カレンダー」をご覧いただけます。

特典2

最新の法改正に関する
セミナーなどの情報を受け取れます!

公益認定法改正など、最新の法改正とその対応に関するセミナーをはじめ、公益・一般法人の運営に必要な知識を深めることができる講習会の情報をお受け取りいただけます。

特典3

よくあるご相談内容をピックアップして
メールにてお届けいたします!

よくあるご相談内容に弁護士や税理士などの専門家が回答するQ&A集を、メールにてお受け取りいただけます。日々の業務のお困りごとや疑問解決にお役立てください。

特典4

公益法人・一般法人に特化した専門書籍を
10%オフで購入できます!

公益・一般法人オンラインを運営する公益法人協会では、社団・財団法人のための出版物を多数発行しております。無料登録いただいた方は、通常価格から10%割引でご購入いただけます。