消費税に関する税務調査
―仕入控除税額の特例計算と特定収入の区分判定―

武田紀仁
(たけだ・のりと 東北工業大学准教授・税理士)
  Summary 消費税の税務調査では、法人税の非違と連動しない消費税固有の非違の把握と対策が重要です。さらに、公益法人等においては独自の税務調査対策が求められます。本稿では、国税庁が公表する調査実績を踏まえ、消費税制度の根幹ともいわれる仕入税額控除の仕組みを確認しつつ、仕入控除税額の特例計算や 特例計算の過程で必要になる特定収入の区分判定といった公益法人特有の論点に焦点を当て、事務担当者が押さえておきたい税務調査対策のポイントを解説します。  

Ⅰ 公益法人等における消費税調査の動向

 日常の買い物などを通じて身近に感じる税である消費税は、国民にとって関心が高い税目であるだけでなく、税収全体の約3割を占める基幹税であることから(注1)、税収面からみても重要性が高い税目として位置付けられます。
 そのため、税務調査の執行を所掌する国税庁においては、消費税について適正な事務運営を遂行すべき環境にあるといえるでしょう。この点、適正・公平な課税を行うため、公益的な活動を行う公益法人等に対しても、営利法人と同様に税務調査が行われています。国税庁が公表する調査実績(注2)では、公益法人等に対する調査実績も公表されています。それによれば、消費税の税務調査における非違件数と追徴税額は一貫して高水準にあり、令和元事務年度を除き、非違割合は50%を超えていることが示されています。特に、令和6事務年度においては、不正計算に係る追徴税額は42百万円に上り、前年対比280.0%と令和元事務年度以降で最高値を記録しました【図表1】。また、消費税の税務調査において、不正計算への対応は重要課題に位置付けられており、調査実績からもその姿勢を読み取ることができます。
 さらに、AIを活用した調査対象の選定、20

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