【景気短評】3月日銀短観にみる景況と今後の景気

門多 治
(慶應義塾大学理工学部非常勤講師)

 本欄で筆者は、黒田総裁就任後1年を経過した2年前に、「海外要因を中立とすれば、15年度秋の消費税率の10%への引上げ判断は、民間消費の落込み度合と、その回復力に依存するだろう」と書いたが、実際には17年4月まで引上げは延期され、また、その再引上げ自体が現在焦点となっている。そこで今回は4月1日公表の日銀短観3月調査の結果から、その判断につながる夏場までの景気動向を考えてみた。
 調査結果を概観すると、業況判断DI(景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いたもの)は、製造業(大企業)ではプラス6と、前回12月調査や、それと同水準であった2年前の14年3月調査での12と比較して6ポイント悪化した。非製造業は一部業種で低下したものの、水準は22(前回比3低下)と
                           

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