【景気短評】統計の改善と成長戦略

山澤成康
(総務省統計委員会担当室室長)

 6月2日、「経済財政運営と改革の基本方針2016~600兆円経済への道筋~」(骨太の方針)が閣議決定された。この方針のなかで、生産性上昇や新たな市場創出などとともに、経済統計の改善も成長戦略に入っている。景気の把握が正確にできるようになれば、経済政策が効果的に実施できるようになり、成長に寄与するという考え方だろう。
 自動車の自動運転は、周りの環境を正確に把握できることが前提だ。誤ったデータをもとに自動車を動かすと危険である。日本経済をよりよく運営する場合も、現状を把握するための統計精度向上が必要だ。
 骨太の方針では改善方向として4点指摘している。ひとつ目は経済社会構造の変化を統計に反映させることである。2015年の国勢調査によると、65歳以上の人口は4分の1を超え、単身者世
                           

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