【論壇】まぼろしのボランティア支援法

吉田忠彦
(よしだ・ただひこ 近畿大学教授)
一九五九年京都市生まれ。近畿大学大学院博士課程修了。近畿大学豊岡短期大学専任講師、助教授を経て、現職。非営利法人研究学会常任理事を務める。著書に『非営利組織論』(共著、有斐閣)、『ボランティアの今を考える』(編著、ミネルヴァ書房)など。 1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生した。当時、私は兵庫県北部に住んでいた。その数日後に仕事のため岡山に向かったが、神戸を迂回せねばならず、普段3時間もあれば到着するところが丸一日がかりとなった。乗換駅では、雪が積もる天候の中、立錐の余地がないほど立て込んだホームで何時間も列車を待ち、車内でもすし詰め状態で何時間も揺られた。しかし、人々は被災地の様子をテレビで見ていたので、誰も文句など言わず、じっと我慢をしていた。
 災害ユートピアというほど大げさなも
                           

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