実務担当者が知っておきたい裁決・判決に学ぶ租税実務[53]退職所得該当性の3つの判断基準

永島公孝
(税理士)

はじめに

 前回のおさらいですが、退職所得の意義及びその金額の計算方法について規定した所得税法30条には、退職所得とは、「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得」としています。
 退職所得は、給与所得者の過去長期間にわたる勤労の対価の後払いという性質と、退職後の生活(老後)の資金に充てられるものであるという性質をもっています。そのため、所得計算において、退職手当等の収入金額から退職所得の基因となった勤務期間の長短に応じて計算される一定の退職所得控除額を控除するとともに、その残額の2分の1に相当する金額をもって退職所得の金額としています(所法30②、③。ただし、特定役員は別の計算となり、除きます。)。また、他の所得と
                           

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