平成30年度東京都概況から示唆される「立入検査」の傾向と対策

上松公雄
(うえまつ・きみお 大原大学院大学准教授・税理士・全国公益法人協会特別研究員)
  • CATEGORY
    • 監督・立入検査
  •  対 象 
    • 公益法人・一般法人
目  次

まえがき

令和元年9月に「平成30年度公益法人定期立入検査実施概況報告」(以下、「本報告」という。)が東京都生活文化局都民生活部から公表された。
この「公益法人定期立入検査実施概況報告」は東京都が「実施した定期立入検査の概要並びに類型的な指摘事項についての指摘の趣旨及び東京都の指導内容等」をまとめ、毎年度公表されており、拙稿「東京都「公益法人定期立入検査実施概況報告」から示唆される傾向と対策」(本誌No.993〔2019年9月15日号〕)(以下、「拙稿(2019年9月)」という。)において平成28年度版及び平成29年度版を基に、その主要な指摘事項について明らかにしたところである。
本稿においては、改めて本報告に基づき、東京都における定期立入検査(以下、「立入検査」という。)においてどのような事項が検査の対象とされているかを確認するものとし、東京都所管の公益法人のみならず、内閣府所管又は他の道府県所管の公益法人における法人運営の参考に資するものとする。

Ⅰ 立入検査の方法及び結果の概要

1 立入検査の目的及び対象選定の方針

平成30年度の立入検査においては123法人が対象とされたが、そのすべてが2回目の立入検査であったとされる。母集団となる東京都所管の公益法人数は、428法人(社団:219法人、財団:209法人)となっているので、全体の28.7%(平成28年度:32.6%、平成29年度:33.6%)の法人に対して立入検査が実施されたこととなる。
3年に一度の頻度で実施することが基本方針とされており(本報告3頁)、ほぼこの基本方針に沿って立入検査が実施されている状況が認められる。

2 立入検査結果の概要

立入検査の結果に基

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