【景気短評】GDP統計の改革が進む

山澤成康
(総務省統計委員会担当室室長)

 2016年は、国内総生産(GDP)統計に大きな動きがあった年だった。最も大きい変化は作成法の変更である。多くの先進国が採用している国際基準である「2008SNA」へと作成方法が変更された。研究開発(R&D)投資を企業の設備投資に算入するほか、特許使用料の取扱い変更、防衛装備品の資産への算入などが盛り込まれた。2005年基準から2011年基準への基準年変更による影響も含めて2015年度の名目GDPが6.3%増えた。実態が変わらないのに、GDPの水準が6.3%増えるというのは錬金術のようだが、計算方法の変更は世界共通で、どの国のGDPも増えている。
 2016年はGDPに対する様々な検討が行われた年でもあった。一つは統計委員会で最初に採り上げられた分配面からみたGDPである。GDPを賃金
                           

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