【景気のゆくえ】原油価格は高止まりが続く

林田元就
(電力中央研究所上席研究員)

 原油価格が高騰している。2021年9月の中東ドバイ産のスポット価格は1バレル72.5ドルとなった。前年比75%上昇、昨年4月の安値(同22.6ドル)からは50ドルもの上昇である。以下では、原油価格上昇の国内景気への影響と今後の見通しについて説明する。
 原油価格の上昇は、輸入価格の上昇を通じて、海外への所得流出をもたらし、貿易収支を悪化させるほか、エネルギーを中心とした国内価格の上昇は、企業のコスト増加や家計の購買力低下につながり、内需を減少させる。当所マクロモデルによるシミュレーションでは、原油価格の50%上昇は実質GDPを1年目に0.2%、2年目0.5%ほど押し下げると試算されており、原油価格の変動は国内景気を左右する重要な要因の1つと言える。
 原油価格の先行きを占うため
                           

この記事は有料会員限定です。

Copy Protected by Tech Tips's CopyProtect Wordpress Blogs.