【違いが分かる大人のための社会学講座】
第2回 「安全」と「安心」の間にほの見える浮世の難儀

藤島寒月
(フランス現代社会学者)

 「感染対策をしっかりと講じて安全安心の大会にしたい」(菅義偉前総理)。「安全安心な大会に向けて着実な準備を進めていく」(小池百合子東京都知事)。いずれも、2021年6月2日の衆院厚労委で政府分科会の尾身茂会長が、「(新型コロナの感染状況からすれば)五輪開催は普通はない。」と発言したことを受けてのコメントだ。犬猿の仲にある(つまり色々と考え方の異なる)政治家として名高い2人が、奇しくも、「安全安心」という同じ表現を使ってコメントしているのである。「安全安心」の政治言語としての制度性は、主義主張の相違を越えているということだろう。今回は、その辺の事情を、筆者なりに深掘りしてみたい。

「安全」は科学・「安心」は心理

 「安全」と「安心」は、そもそもどんな関係にあ
                           

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