源泉徴収に関する税務調査
―指摘されやすいポイントと実務対応―

上仲孝明
(うえなか・たかあき 税理士)
  Summary 公益法人・一般法人では、法人税や消費税の申告がなくても、給与・報酬や旅費等に関する源泉所得税が税務調査の重点項目となり得る。本稿では、給与所得と事業所得の判定基準、契約書と業務実態を一致させる重要性、通勤手当・旅費の取扱い、源泉徴収税額表の使い分けを整理する。さらに、徴収漏れが判明した場合の本人からの回収、法人負担時のグロスアップ計算、過年度分の再計算、追加納付に伴う不納付加算税・延滞税まで、日常実務で確認すべきポイントを具体例と仕訳で解説する。また、税務調査時に説明できるよう、判断・計算の根拠資料を平時から整備することが重要である。  

Ⅰ はじめに

 公益法人や一般法人の実務では、非営利法人であるため、税務上の負担は限定的であるといった認識や、少額の謝金を支払っているだけなので問題になりにくいといった認識から、源泉所得税について十分な検討が行われていないことがあります。
 特に、法人税法上の収益事業を行っていない法人や、寄付金や補助金を財源として運営をしている法人では、法人税や消費税の申告を行わないことから、税務調査では源泉所得税が重点的な調査項目になり得ます。
 本稿では、日常的に発生する源泉徴収事務に焦点を当て、税務調査に向けた対応の観点から整理しました。 

Ⅱ 給与と報酬の判断とエビデンス

 源泉徴収にあたり、給与(給与所得)か報酬(事業所得)かという点は、公益法人に限らず問題になりやすい論点です。給与か報酬かという点は税務調査では実態で判断されます。
 そのため、実態を示すことができるエビデンス(根拠となる資料)を用意しておくと、税務調査時にどのような根拠で報酬(または給与)と判断したのか主張しやすく

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