【解説】有価証券の時価評価と指定正味財産を巡る考察―「洗替法」と「切放法」で、指定正味財産残高が異なることで生じる問題―

江田 寛
(えだ・ひろし 公認会計士・税理士)
  • CATEGORY
    • 会計実務・有価証券・指定正味財産
  •  対 象 
    • 公益法人・一般法人
目  次

はじめに

 昨年末、筆者は公益財団法人の経理担当者から以下のような内容の相談を受けました。<相談>
 当法人では、今から30年ほど前、○○市から、10億円の基本財産の出捐を受けました。○○市との約束は、基本財産として10億円の金額を維持すること及び運用益を補助金の交付を受けない一部の事業と法人管理費の財源とするものでした。基本財産は国公債と定期預金で運用しています。公益法人会計基準が平成16年に改正されたとき、公認会計士協会から公表された旧実務指針(※ 1 )に基づいて、この基本財産を指定正味財産としました。有価証券は「その他有価証券」に区分し、時価評価に関する会計処理は「切放法(きりはなしほう)」を採用しています。
 当年度に有価証券で
                           

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