第9回 病気から人間を守る未来の薬の開発

 和田 高士
(わだ・たかし (一社)日本生活習慣病予防協会副理事長・東京慈恵会医科大学客員教授) 

抗菌薬の誕生

 病気の治療・改善には、手術を主体とする外科的治療と、薬剤を主体とする内科的治療があります。戦後の画期的な薬剤には、1900年代前半のほとんどの期間において死亡原因の第 1 位であった肺結核の原因である結核菌を死滅させる、抗結核薬の登場(1944年)がありました。
 その後、細菌を殺菌する様々な抗菌薬が開発されました。なお抗菌薬のうち、ペニシリンなど微生物が作った化学物質は抗生物質といいます。ただ、近年は細菌側も抗結核薬あるいは抗菌薬に対する抵抗性が強くなりました。抗結核薬を 3~4 種類組み合わせて使用しないと治療が完結しなくなってきたのです。
                           

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