第5回 使途不特定財産ケーススタディ
~「基金」と名付ければ安心? 使途不特定財産額をめぐる落とし穴~
2026年07月31日
大内隆美
(おおうち・たかみ (一社)構想日本 プロジェクトリーダー(公益法人担当)) 今回の事例 公益財団法人Dでは、ここ数年、基本財産の運用益や事業収支の黒字分を少しずつ積み立ててきた。物価上昇、人件費の増加、助成金収入の変動などに備え、将来の法人運営を安定させるためである。事務局では、この積立金を「財政基盤確保基金」と呼び、貸借対照表上も特定資産として管理していた。理事会でも、「将来のための備えは必要だ」「公益法人として安定的に事業を継続するには、一定の余裕資金が欠かせない」との意見が多く、積立て自体に異論はなかった。
ところが、定期提出書類の作成時、担当者が「この基金は使途不特定財産額に含める必要があるのでは?」と疑問を持った。
名称は「基金」であり、理事会でも財政基盤確保のためと説明している。しかし、具体的に何の事業に、いつ、いくら使うのかは明確に定めていない。建物修繕やシステム更新、人件費増加への対応など、将来必要になったときに使うという説明にとどまっていた。このままでは、単なる将来の備えとして
(おおうち・たかみ (一社)構想日本 プロジェクトリーダー(公益法人担当)) 今回の事例 公益財団法人Dでは、ここ数年、基本財産の運用益や事業収支の黒字分を少しずつ積み立ててきた。物価上昇、人件費の増加、助成金収入の変動などに備え、将来の法人運営を安定させるためである。事務局では、この積立金を「財政基盤確保基金」と呼び、貸借対照表上も特定資産として管理していた。理事会でも、「将来のための備えは必要だ」「公益法人として安定的に事業を継続するには、一定の余裕資金が欠かせない」との意見が多く、積立て自体に異論はなかった。
ところが、定期提出書類の作成時、担当者が「この基金は使途不特定財産額に含める必要があるのでは?」と疑問を持った。
名称は「基金」であり、理事会でも財政基盤確保のためと説明している。しかし、具体的に何の事業に、いつ、いくら使うのかは明確に定めていない。建物修繕やシステム更新、人件費増加への対応など、将来必要になったときに使うという説明にとどまっていた。このままでは、単なる将来の備えとして
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