【声に出して読みたいガイドライン】第17回:資金貸付の認定基準を巡る複雑な関係

出口正之
(国立民族学博物館教授・元内閣府公益認定等委員会委員)

1. 対象事業の範囲とチェックポイントを考える視点

 近年、公益的な事業に対して資金提供を行う「ソーシャル・ファイナンス」に注目が集まっていますが、資金の貸付けが単に市場原理だけに委ねられてしまうと、社会的に支援が必要とされるところに資金が回らないこともあり、大きく「公益」を損なうことがあります。こうした要請から、これまで公益法人は資金貸付や債務保証等の事業を行ってきました。
 ところが、行政改革の観点から平成18年に政府は、「補助金等の交付により造成した基金、公益法人の行う融資等業務及び特別の法律により設立される法人の見直し等について」(平成18年12月24日行政改革推進本部決定)を示しました。ここで政府は、補助金に基づく貸付業務等で膨れ上がった基金を国へ返納する
                           

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