【非営利組織のファンドレイジング戦略】第31回 ファンドレイジング戦略=特殊な マーケティング戦略(その4)
2019年10月25日
堀田和宏
(近畿大学名誉教授)
(承前)(近畿大学名誉教授)
Ⅳ ファンドレイジング費用を抑制することの問題点
1 過小投資
前回(本誌2019年10月1日号)に述べたファンドレイジング戦略のいくつかの特殊性から、非営利組織はファンドレイジングに過小投資をする傾向になる。もっとファンドレイジング活動に投資をしていれば資金を獲得することができるのに、現実に獲得できる資金は少なくなる。しかし実は、寄附金収入に対してファンドレイジング費用の割合が多いからといって、それに対して寄附者が不満や不信を抱くこと、あるいはそれをもって外部の規制や統制が課せられることは間違いなのである。
例えば、ファンドレイジング費用のなかには寄附先との接触・啓発・関係づくりに不可欠な「有能な人材」の人件費が多くを
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