【非営利組織のファンドレイジング戦略】第34回 ファンドレイジングによる寄附の 社会的効果(後編)

堀田和宏
(近畿大学名誉教授)
(承前)

Ⅳ 社会関係資本は社会の不平等をつくる

 たしかに社会関係資本の形成はプラスの外部性をつくり、信頼と互酬の付加価値を高める効果があるが、同時に、現代の社会関係を特徴づける富と所得、人種、性別などの不平等をより深く形づくるという側面があり、その結果、社会関係資本が偏在化し固定化し、排他的で権力支配を強めるマイナス効果もある。そこで、個人レベルの社会関係資本の本当の価値を説明するのに、個人の間の絆の存在ではなくてそれが欠如しているか偏在していることに求めることもできる。ある社会のある人たちがほかの人たちよりも多くを所有するような社会関係資本の不平等な分配がなされていて、それが社会的な絆のギャップを固着させ再生産させている現実があるといえる。
 さらに、社
                           

この記事は有料会員限定です。

Copy Protected by Tech Tips's CopyProtect Wordpress Blogs.