第6回 非営利組織の特性(その2)

堀田和宏
(近畿大学名誉教授)

(承前)
 第1章 非営利組織の組織目的 

4 複数の多様なミッション

 今日、営利企業も内外の環境にますます関心を寄せてそれの変化に受動的あるいは能動的に適応するべき情況にあるが、それが掲げるミッションはどこまで行っても可及的な利潤最大化に収斂する。
 営利企業の業績は明確かつ有形で測定と評価が可能であり、目標、価値、成功尺度はそれらすべてが利潤追求に結びつく。それに対して、非営利組織は後述する様々な理由から複数のミッションを積み重ねる性向があり、それらはしばしば複雑で多様であり、漠然としていて何か一点に収斂(れん)することはなく曖昧でさえある。
 また、社会的目的を達成するという包括的な組織目的の性質は不変であっても、次のような情況ではその本来
                           

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