第8回非営利組織の特性(その4)

堀田和宏
(近畿大学名誉教授)

(承前)
 第2章 非営利組織の制約 利益分配禁止の拘束 

4 組織全体の非効率を生む逆効果がある

 営利企業では利益獲得の動機と利益分配に与(あずか)るインセンティブが働いて、それが一定の財・サービスを生産するのに最小費用の手段を選択する効率的生産を刺激し、組織の効率性を高めると考えられる。これに対して非営利組織では、経営者は分配禁止の拘束のために自分の手腕で獲得する利益や剰余を法的に所有できないから、そしてまた、少なくとも社会的・倫理的に分配禁止の拘束が働くことから、大きく利益を出そう残そうというモチベーションに乏しく、その意思決定から利益獲得という重要な1つのインセンティブが奪われる。そのことが産出と成果に強い影響を与え、その結果、次のような分配禁止の拘
                           

この記事は有料会員限定です。

Copy Protected by Tech Tips's CopyProtect Wordpress Blogs.