「特別の利益供与の禁止」の考え方と留意点(前編)
―公益認定取消事例と国税不服審判所裁決―

大野憲太郎
(おおの・けんたろう 弁護士)

Ⅰ はじめに

 日本の非営利法人法制においては、非営利性を補完するルールとして、「特別の利益供与の禁止」が広く採用されている。
 以下、非営利法人法制における「特別の利益供与の禁止」についての考え方を整理した上でII、公益法人・移行法人における「特別の利益供与の禁止」Ⅲ、非営利型法人における「特別の利益供与の禁止」Ⅳについて検討し、最後に、法人運営上の留意点について解説する(V)。Ⅲにおいては、特別の利益供与の禁止への抵触を理由の一つとして公益財団法人の公益認定が取り消された事例を検討し、Ⅳにおいては、特別の利益供与に該当することを理由に非営利型法人ではなく普通法人であると判断された国税不服審判所裁決を検討する。
 本号では、Ⅲま
                           

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