【解説】指定管理者制度における「公益」の行方―TSUTAYA図書館騒動が炙り出したもの

吉田忠彦
(よしだ・ただひこ 近畿大学教授)

本屋のハタキは今は昔

 書店でしばらく立読みしていると、何となく感じる店主の無言の視線。目を合わさないようにしていると咳払いが聞こえてくる。それでも頑張って粘っていると書棚の整理が始まり、ついに最終兵器のハタキが登場する……。
 本誌読者の街の書店についての思い出やイメージはこんなところではないだろうか。ところが、今やそんな街の書店は探さないと見つからない。「あそこにあったはず」という昔からの書店があった場所に行ってみても、とっくにシャッターが閉まったままになっていたり、他の業種の店舗になっていたりする。
 実際、ちょっとした専門的な本を手に入れようと思えばネット通販サイト・Amazonに頼らざるを得なくなっているし、いろいろ本を手に取っ
                           

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