役員の判断ミスと損害賠償責任
2023年04月14日
熊谷則一
(くまがい・のりかず 弁護士)
(くまがい・のりかず 弁護士)
Ⅰ はじめに
公益法人も一般法人も非営利法人であり、利益を関係者で分配することを予定していない。法人の利益が大きくなったからといって翌事業年度の理事・監事(以下「役員」という。)の報酬が上昇することはなく、非常勤の理事は理事会出席のたびに日当程度の報酬を得るだけであるという法人も少なくない。そのため、公益法人でも一般法人でも、ボランティア感覚で当該法人の運営に当たっている役員も多い。しかし、役員の報酬の有無にかかわらず、役員には法人に対する種々の責任がある。ボランティア感覚の役員の中には、法人にどのような損失が発生しても自分には関係ないと、誤解している者もいる。このような誤解は、法人のガバナンスを脆弱にする。本稿では、公益法人・一
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