Vol. 11 令和 6 年度税制改正大綱の決定について

内閣府公益認定等委員会 事務局だよりPLUS+

 令和 5 年12月22日に、令和 6 年度税制改正の大綱(以下「大綱」という。)が閣議決定されました。大綱では、内閣府において現在検討を進めている公益法人・公益信託制度改革に関する内容が盛り込まれています。ここではそれらのポイントをご紹介します。

■公益法人制度に関する税制措置

 現在検討中の公益法人制度改革(財務規律の柔軟化・ 明確化、法人の透明性向上等)の実施により、公益法人の潜在力を最大限発揮できるようにするとともに、国民からの寄附等の支援を更に呼び込むことで、公益法人のポテンシャルが高まるという好循環を生み出し、「民間も公的役割を担う社会」を実現する必要があります。また、民間公益活動の選択肢拡大のため、新しい公益信託制度と相互のシナジーを生む制度とする必要があります。

 こうした中、大綱では、以下の措置を講ずることとしています。

○ 収支相償原則の見直し等の公益法人制度改革が行われた後も、公益社団法人及び公益財団法人に講じられている税制上の措置を引き続き認める。【法人税等】
○ 公益法人の解散等の際、みなし譲渡所得税非課税となる財産の贈与対象に、新しい公益信託を追加する。 【所得税】

■公益信託制度に関する税制措置

 公益信託についても同様に、「民間も公的役割を担う社会」の実現のため、公益性を担保しつつ、より使いやすい制度を構築することが求められており、①主務官庁制を廃して公益法人と共通の行政庁が公益信託の認可・ 監督を行う制度に改めるとともに、②公益信託の認可基準及びガバナンス等を法定する公益信託法の改正を検討しています。

 また、公益信託は、公益法人のような機関を作ることなく、寄附者の死後も、その意思を反映した公益的活動を実現し得る手段であり、企業や国民が社会貢献を行う際の手段としての選択肢となるとともに、公益法人と相互のシナジー効果も期待されるところです。

 こうした中、大綱では、公益信託法の改正を前提に、新公益信託制度の下で認可されたすべての公益信託が、公益法人並びの税制優遇を受けることが掲げられています。  

 具体的には、以下の措置を講ずることとしています。

○ 公益信託の信託財産に係る収益・費用及び所得については非課税とする。【法人税・所得税・個人住民税・法人住民税・事業税】
○ 公益信託の信託財産として拠出された財産について、別枠の損金算入限度額の対象及び特定公益増進法人に対する寄附金と同様の寄附金控除の対象とする。 【法人税・所得税・個人住民税・法人住民税・事業税】
○ 公益法人等に対して金銭以外の財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税措置について、対象に公益信託を追加する。【所得税】
○ 公益信託の信託財産とするために相続財産を拠出した場合について、相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税制度の対象とする。【相続税】
○ 受託者の法人・個人に関わらず、個人が公益信託から学資に充てるため給付を受けた財産について、非課税とする。【所得税・贈与税】
○ 公益信託認可を受けた公益信託の契約書に係る印紙税を非課税とする。【印紙税】

■公益法人・信託制度改革について

 これらの税制措置の前提となる公益法人・公益信託制度改革については、令和 6 年通常国会に必要な法案の提出を図ることとされており(骨太の方針2023等)、現在、その法制化に向けた検討を進めているところです。

 

※ 大綱の全文は、以下をご覧ください。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/20231222taikou.pdf

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